外食
肩肘張らず自然と
笑顔になれる
空間づくり
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鮨 銀座おのでら 登龍門
江木 直樹
*肩書や所属は取材時のもの
100分の1ではなく
「目の前の
お客様にとっての1」を
握る
仕込みの段階では、大人数のお客様を想定して大量のネタを用意しますのでお客様にお出しするお鮨はそのうちの一つ。ただ、お客様の視点に立てば、目の前に出されたその一貫は、その時、その場所でしか味わえない「唯一のお鮨」です。私たちにとって100分の1の一貫であっても、お客様にとってはその一貫がすべてであり、そこにクオリティのばらつきがあることは絶対に許されません。
「目の前のお客様とっては、今この瞬間にしか味わえないお鮨を提供しているんだ」という強い意識を持ち、閉店前の最後の一貫まで絶対に力を抜かない。自分のコンディションでクオリティを左右させないよう、一人ひとりのお客様に全力を注ぎ、最高に「おいしい」状態でご提供できるのがプロだという誇りを持って、一貫一貫ご提供させていただいています。
お客様に寄り添う
カウンターの空間作り
お店のカウンターでは、複数のお客様に対して、職人が一人で対応します。お一人で静かに楽しみたい方、グループで会話を弾ませたい方など、過ごし方は千差万別です。すべてのお客様に同じペースで淡々とお鮨をお出しするのではなく、表情や空気を察しながら、一人ひとりに寄り添う最適な間合いを計るようにしています。
また、ネタについてなど、職人からの過度な「うんちく」は、時として心地よい空間を損ねてしまいます。自分から知識を語りすぎるのではなく、お客様が疑問に思ったことを丁寧にお応えする。私たちはまず「聞き手」でなければならないと考えています。鮨は見た目の美しさが重要です。緊張をほぐす細やかな気配りと、一目見て「おいしそう」と感じていただける佇まいを大切にしながら、日々カウンターに立っています。
壁を乗り越えた先にある、
お客様との
「信頼関係」が原動力
ネタのサイズ感やシャリの握り加減など、職人によって細かなニュアンスは異なります。食材に合わせて自分なりに正解を出し、お客様に提供し続けなければならないプロの世界の難しさに、今も現在進行形で直面しています。壁にぶつかった時は、まず自分の中でしっかりと落ち込みます。その悔しさをエネルギーに変えて、あとはひたすら手を動かし、翌日の仕込みにぶつけて技術を磨いていく。
そんな日々のなかで最もやりがいを感じるのは、お客様が再びお店に足を運んでくださった時です。短い時間のなかで「この人に任せたい」と信頼していただき、カウンターで「また来たよ」と手を振っていただけた瞬間、本当にこの仕事をやっていて良かったと心から思えます。これからも、お客様が自然と笑顔になるようなリラックスした食事空間を、一客一貫に込めて届けていきます。