昨今、巷にあふれる「サステナビリティ」や「持続可能」という言葉。しかしそれを自分たち自身のこととして取り組むには、いったい何が必要なのでしょうか。
2021年2月から同年末までONODERA GROUPが取り組んだ「若手サステナブル推進プロジェクト」。各事業からいわゆるZ世代(1995年以降生まれ)の若手社員が集まり、SDGsの勉強会、課題の発見、企画の立案と実行に取り組みました。その挑戦に迫ります。
ONODERA GROUP 若手サステナブル推進プロジェクト
昨今、巷にあふれる「サステナビリティ」や「持続可能」という言葉。しかしそれを自分たち自身のこととして取り組むには、いったい何が必要なのでしょうか。
2021年2月から同年末までONODERA GROUPが取り組んだ「若手サステナブル推進プロジェクト」。各事業からいわゆるZ世代(1995年以降生まれ)の若手社員が集まり、SDGsの勉強会、課題の発見、企画の立案と実行に取り組みました。その挑戦に迫ります。
今回のプロジェクトで主導的役割を果たした仲山 七虹(ONODERAストラテジー グループ事業戦略部)。彼女はプロジェクト発足前から、グループのサステナビリティに関わる情報収集を担当していました。
仲山「各部署へのヒアリングを踏まえて優先課題の策定を行っていた時、田島社長から『若い社員の視点から取り組む課題を決めてみてはどうか』という意見をいただいたんです。若手社員が主体的に取り組むことで、エンゲージメントを高め、次世代を担う人材を育てていく狙いもありました」
各事業のリーダーが推薦した若手社員を中心に始まった「若手サステナブル推進プロジェクト」。しかし何もかも初めてのことで、はじめは手探りのスタートでした。
仲山「各事業で頑張っているメンバーを中心に始まったのですが、それでもSDGsに対する情報量はさまざまでした。まずは自分が培ってきた知識やスキルを共有しながら、みんなのレベルを合わせていくことに取り組みました」
初めに約2か月をかけて、SDGsにおける17のゴールやESG投資の学習、さらにONODERA GROUPにおけるサステナブルな取り組みを学んでいったメンバーたち。「初めて知った」ということも多かったようです。
仲山「グループの他の事業で取り組んでいることは、意識して情報収集しないとなかなか知らないことも多いと思います。『こんなことをやったらどうか』というアイデアを持ってプロジェクトに入ったけれど、実はもう会社がやっていた・・・というメンバーもいました」
情報のアンテナを高く張り、まず基礎知識を吸収。そこから徐々にそれぞれの特長を生かし、多彩な企画に取り組んでいきました。
仲山 七虹
2021年11月、約7,000人の観客が詰めかけたJ1リーグ・横浜FC対ヴィッセル神戸。「ONODERA GROUP SDGs MATCH」と銘打った試合のイベントでひときわ注目を集めたのは、地元・横浜市戸塚区で栽培されたサツマイモを使用したパンやスイーツの数々でした。
この取り組みを主導したのは、プロジェクトメンバーである戸田 寛大(横浜フリエスポーツクラブ)と越知 俊明(レオックフーズ)の2人。限られた時間の中でしたが、2人の目的意識は一致していたといいます。
戸田「横浜FCはこれまでも『ちきゅうにもからだにもやさしいプロジェクト』など、スポーツと食を軸にした取り組みをLEOCと行ってきました。お互いの強みを生かしていこうという思いは一致していましたし、その中で『地産地消の食材』というキーワードが出てきました」
しかし、企画の形が見えてきたのは5月頃。シーズンのスケジュールを考えると、まったく余裕はなかったといいます。
越知「ご協力いただく農家様に大きな負担をかけず、天候や地質も考慮すると、サツマイモが一番でした。それでも育つには5か月ほどかかりますし、植え付けができたのは6月17日でしたから、正直『何とか育ってくれ』という気持ちでしたね(笑)」
戸塚区にあるジコンファーム様の畑をお借りし、順調に育っていったサツマイモ。並行して、そのサツマイモの提供方法も検討していきました。
越知「ONODERA GROUPの杉浦 仁志エグゼクティブシェフご協力のもと、デザートラップを考案していただきました。横浜FCの高橋 秀人選手や岩武 克弥選手に試食していただき、たくさんご意見をもらいながら、今までのスタジアムグルメになかったスイーツができたと思います」
その他にもグループ内のベーカリーである「ブーランジェリー・ボヌール」は、サツマイモを使用したパンを販売。積極的なSNS発信も功を奏し、デザートラップは60個以上、パンは約270個すべて完売という大盛況に終わりました。
戸田「畑の経過観察など『コロナがなければ参加したかった』という選手たちもいましたし、そういう意味では課題も残りました。ただ多くの方にご協力いただいてこうした取り組みができたことは自分にとっても大きいですし、今回培ったコネクションを生かして、もっといろいろなことに取り組んでみたいです」
畑の経過観察を行う戸田(左)と越知(右)
ONODERA GROUPを支えているのは、「食」だけではありません。もう一つの軸である「ひと」の分野に取り組んだメンバーたちもいました。
石田「ONODERA GROUPの社員は約7割が女性です。そのことは私も入社してから初めて知りましたし、もっと『女性が輝いている会社なんだ』ということをアピールできないかと思っていました」
こう語るのは、新卒総合職採用に携わってきた石田 茉歩(ONODERAダイバシティ・クリエイション 総合職採用部、当時)。自身の実感を生かし、厚生労働省の女性活躍企業認定マーク「えるぼし」の取得に挑みました。
「えるぼし」の取得には、採用・継続就業・労働時間等の働き方・管理職の比率・多様なキャリアコースの5項目において一定の基準を満たすことが必要です。今回取得を検討したLEOCではほとんどの項目を満たし、とりわけキャリアコースでは企業ならではの強みが際立つ結果となりました。
石田「企業全体の課題もいくつか見えてきています。今回のプロジェクト内で形にすることはできませんでしたが、継続して取り組み、今後取得を目指していきます」
一方、別の方法で女性活躍のPRに取り組んだチームもいました。ニッパツ横浜FCシーガルズの吉田 凪沙選手とONODERA GROUPの女性執行役員による、「女性のキャリア形成」をテーマとしたYouTube番組の配信です(番組はこちら)。
石田と同じ総合職採用部の栁橋 一翔(同上)は、こう語ります。
栁橋「横浜FCをはじめアスリートに関わる事業を軸に置いてきたONODERA GROUPですが、女性アスリートへの貢献はそれほど表立ってきませんでした。しかし日本には、仕事とスポーツを両立させながら活躍している女性アスリートがたくさんいます。そのことをもっと伝えたいと思っていました」
しかし女性活躍というテーマは、想像以上に扱うのが難しかったといいます。
栁橋「人によってはとても堅く感じるテーマですし、表現するのにとても苦労しました。視聴者に対して一方的な内容にならないよう、制作会社の方々と議論を重ねたり、逆に出演者だけでアイスブレイクをしてもらったり、『出演者が本音を話せる雰囲気づくり』に取り組みました」
その中で何とかつくり上げた番組。SNSのインプレッションは10万人以上に及び、知られざる女性アスリートの実像に反響が広がりました。
YouTube番組「もっと、女性が輝くために!」の出演者の皆さん。右から2番目が吉田 凪沙選手
藺藤「SDGsというとどうしても遠いことのように感じてしまいますが、自分たちの身近な課題に取り組み、皆が働きやすい会社にしていくこともサステナビリティに繋がっていくと思います。その中でテーマになったのが『福利厚生』でした」
こうしたアイデアのもと動き出したのが、藺藤 子龍(ONODERA USER RUN)をはじめとするチーム。彼らは福利厚生サービスの利用率の低さに着目しました。
藺藤「ONODERA GROUPには福利厚生サービスがあるのですが、中身は充実しているにも関わらず、メンバーのほとんどが知らなかったんです。まずいかにそれを周知していくか、そのために何が必要か検討していきました」
そこで彼らがまず取り組んだのは、社内報やPOP作成によるPR強化。同時に、福利厚生をいっそう印象付けるサービスづくりを提案しました。
藺藤「その当時、ちょうど『廻転鮨 銀座おのでら本店』をはじめとする外食店3店舗がオープンしたばかりでした。そのプロモーションを兼ねて、これまではなかった『銀座おのでら』国内全店や『ブーランジェリーボヌール』の社員割引が実現したんです」
社員にとって非常に印象的な成果が生まれた取り組み。一方で、若手ならではの難しさも感じたようです。
藺藤「単に自分たちの要望を伝えるのではなく、実現可能な道筋とメリットをきちんと説明することが大切だと思います。『会社にやってもらう』のではなく、『自分たちが進めていく』ことで、相手の受け取り方も変わっていくのだなと」
メンバー一人ひとりのアイデア、チームワーク、プレゼンテーション、そして責任感が問われつづけた「若手サステナブル推進プロジェクト」。今回得られた有形無形の成果は、これからどのようにONODERA GROUPの未来へ繋がっていくのでしょうか。
「銀座おのでら」と「ブーランジェリー・ボヌール」で社員割引が実現
約10か月という、長いようで短かったプロジェクト。しかしその中でも、仲山は各メンバーの確かな成長を感じ取れたといいます。
仲山「今回のプロジェクトの成果は何よりも『最後までやりきれたこと』だと思います。通常業務のかたわらで、部署をまたぎながらアイデアを形にしていくことは、簡単なことではありません。今回のプロジェクトで身につけられたスキルや経験は、今後の社会人生活においても生きてくることだと思います」
一方で、本社の一部門がサステナビリティに関わる取り組みを担う難しさも感じていました。
仲山「LEOCには、栄養士や調理師といった専門職の社員も数多く在籍しています。今回専門職のメンバーは少なかったのですが、その立場だからこそ発想できるアイデアもたくさんありますし、そうした声を吸い上げきれなかったのは課題だと思っています」
こうした課題に対し、ONODERA GROUPは2022年1月から「SDGs推進室」を正式に設置。「若手サステナブル推進プロジェクト」で得られた成果や課題を生かしつつ、グループ全体でいっそうサステナブルな取り組みを推し進める体制を整えました。
若手社員だからこそ感じた苦労や失敗も数多くあった今回のプロジェクト。しかしその経験も貴重な財産として、ONODERA GROUPは未来に進んでいきます。
【若手サステナブル推進プロジェクト メンバー(五十音順)】
石田 茉歩、藺藤 子龍、越知 俊明、海江田 保雄、佐々木 優奈、戸田 寛大、中地 美紀、仲山 七虹、原 彩夏、栁橋 一翔