レオックフーズバイヤー畑 裕之

日常をつなぐ。社会をつなぐ。

レオックフーズ バイヤー 畑 裕之

多くの給食会社が傘下に抱えている食材流通会社。多くの人々が口にする日常の食を支えるために欠かせない仕事ですが、その姿が表に出ることはほとんどありません。

そこで今回は、LEOC子会社であるレオックフーズのバイヤー・畑 裕之にフォーカス。食材の生産者・厨房・そして食べる人の間に橋をかける、彼の仕事に迫りました。

 

驚きを与える

畑は2009年にレオックフーズへ入社。以前は青果物の専門商社で、主にセールスとして勤務していました。

「もともと祖父が青果の卸売に関わっていたこともあって、その影響で自分もセールスと購買業務の両方に携わってみたいと思ったんです。レオックフーズではありがたいことに、はじめから青果の担当をさせていただきました」

しかし同じ青果を扱うとはいえ、これまでと異なる給食を専門とした仕事。当初は戸惑いも感じたようです。

「前職だと大きなロットの商品をいかに動かすかが重要視されていたのですが、給食の場合は小さなロットの商品を、いかにすべての事業所へ丁寧に行き渡らせるかが大切です。また量販店などと違い、求められる品目も事業所ごとに毎日変わっていきます。そこがはじめは大変でしたね」

さらに、青果を扱う難しさにも突き当たりました。

「野菜や果物って給食では毎日目にしますし、鮮度もすぐ分かります。時には厳しいご意見をいただきながら、それぞれ事業所に合ったものを旬のタイミングでご提案できるように努めてきました。青果物自体の単価は安いですが、小さなところにこだわっていくことが信頼につながっていくと感じています」

幼いころからあこがれてきたバイヤーの仕事。毎日のように事業所に足を運ぶにつれて、徐々に「給食事業のバイヤー」としてのコツをつかんでいきました。

「レオックフーズのミッションは安定供給。事業所のニーズをいち早くキャッチしながら、必要な商品をいつでも提供できるようにすることです。しかも単に『使いたいもの』があるだけではなく、『こんな商品もあるんだ!』という驚きを与えていく仕事ですね。また事業所の方の『こういう食事を出したいんだけど、何かないですか?』という要望にも応えていけるよう、常にコミュニケーションを図りながら、こちらの引き出しを増やしていく仕事でもあります」

その多彩な引き出しを増やすのに欠かせないのが、生産者との密接な連携。そこでのポイントとは、いったいどのようなものなのでしょうか。

 

食への想いを共有する

レオックフーズが提携する農家は全国約50カ所。畑は少なくとも1年に一度足を運び、生産状況の確認や生産者とのコミュニケーションをとるようにしています。

「提携農家を選定するポイントは『安定供給』。給食は一日も止めてはいけないものですから、安定した生産量を長期的に仕入れられることが大切になります。その点での工夫や後継者の育成などを積極的に行っていて、長くお付き合いしていけそうな農家さんと提携させていただいています」

とはいえ、最初のうちは給食事業というイメージに戸惑う生産者も多かったとのこと。

「取引のお話をしても、はじめは『給食ですか・・・』という反応が多かったですね。どうしても学校給食のような、生産者にとっては薄利のイメージが根強く残っているんです。だから、最初はLEOCの特徴である『現地調理にこだわったおいしさ』をきちんと伝えるように心がけています」

丹精込めた食材のおいしさを最大限に活かす、LEOCの調理法。「おいしく食べていただきたい」という生産者の想いを大切にすることが、LEOCにとっても大きな強みになっています。

「生産者の方とお話するときは、給食事業の意義をきちんと伝えるようにしています。例えば外食は、嗜好性の高い非日常の食事ですよね。でも給食は、毎日食べる日常の食事。特にLEOCが数多く運営している病院や老人ホームの利用者の方にとっては、まさに命をつなぐ食事なんです。だからこそいいものを、長く安定して供給していただきたいんです」

畑の熱い想いに呼応したパートナーにとっても、今や給食事業は大きな支えになっているといいます。

「LEOCと取引するようになって出荷数量が安定したという声をよくいただきます。生産計画が立ちやすく、コロナ禍でも食数が大きく変わらないことがその理由のようです。ある生産者の方は外食にも卸していたのですが、そちらの収入が減少した中でもLEOCが安定していたので、大変喜ばれていました」

常に足を運び、想いを共有し、今や互いにとって欠かせない存在となった生産者の数々。そして畑は、その生産者と厨房、さらにその先の食べる人をつなぐ役割を担うようになっています。

 

食育や地域貢献へ

畑にとって、ある保育園で行ったトウモロコシの食育活動が、今でも忘れられないといいます。

「ある農家さんと連携して、園児が種植えから収穫を行い、最後にそれをLEOCの厨房で調理して食べるイベントを行ったんです。クライアントとなる保育園の先生方とも連携しながら、トウモロコシがどんなふうに育つのか、生産者の方がどんな想いで取り組んでいるのか伝えていきました。
その翌年も行ったのですが、その園児たちが以前学んだことを覚えていてくれたんですね。さまざまな方と一緒になって、誰かの印象に残る仕事ができた時が、一番うれしいです」

食べることを日々学んでいく幼少期に、食材やその生産者に生で触れ合い、深く刻まれた経験。これから長く続いていく食生活の原体験に立ち会えたことが、大きな喜びだといいます。

畑が取り組む産地連携は、食育活動だけにとどまりません。ONODERA GROUPの事業をまたいだ地域貢献活動にも、食を通してアプローチしています。

「横浜FCのクラブハウスにある食堂で、三浦半島の地場野菜を使ったイベントを開催させていただきました(詳しくはこちら)。横浜FCのスタッフにも収穫体験を行ってもらい、その様子をSNS等で配信してもらうことで、ファンの方に地元の農業に関心を持っていただく企画です。首都圏の生産者は配送にかかるエネルギーコストが少なく、地球環境への貢献という意味でも貴重な地域。これからも長く一緒にやっていければと思っています」

生産者、厨房、そしてクライアントをつなぐ中で、食育や地域貢献といった様々な活動に関わっている畑。その彼がこれから目指す、仕事の未来像に迫りました。

 

人々をつなぐ仕事

畑がまず目指していくのは、レオックフーズが扱う食材の付加価値を高めていくことです。

「どうしても給食の食材というと、まだまだ『安くておいしくない』イメージがあると思います。でも実際は、生産者の方々が想いを込めてつくったものばかり。まずはその価値を、調理を担当するLEOCの社員の方々に感じていただきたいと思っています。

具体的にはメイン野菜における生産者の可視化や、提携農家にLEOCの社員と訪問する機会をもっとつくっていきたいと思っています。口で説明するよりも、見ていただくのが一番ですから」

また、未来のバイヤーとなる後継者の育成にも力を注いでいます。

「この4月から、若手の後輩と一緒に生産者を訪問しています。バイヤーの仕事は事業所や生産者との一対一の関係が大切ですから、そこを引き継いでいくこと。その上でしっかりと生産者や農作物の状況を目で見て、感じてもらうようにしています」

食材の価値を正しく認識してもらうこと。そして後継者を育てること。レオックフーズの持続的な事業環境を築いた上で、畑が考えるのは「生産者を支える仕事」です。

「高齢化社会で産地が少なくなっている中ですが、もっと足を運んで、中長期的にお付き合いできる生産者を発掘していきたいと思っています。そして私たちだけが利益を得るのではなく、生産者の方にとってもモチベーションアップにつながるように取り組んでいきたいですね。その意味でも、生産者・LEOC・クライアントの連携を、もっと密にしていきたいです」

一人ひとりの日常をつなぎ、社会の活力を高めていく食のサプライチェーン。畑をはじめとするレオックフーズのバイヤーたちは、食のエキスパートたちと連携しながら、より安心・安全で安定した食材供給を実現していく努力を続けていきます。

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